2012年4月15日日曜日

世界キリスト教情報


┏週刊━━━━━
┃世界
┃キリスト教
┃情報 No.1049
┗━━━━━━━
2011.2.28

 = 目 次 =
▼「平和と正義」を正面に打ち出すWCC中央委
▼既婚ドイツ人がカトリック司祭に
▼クライストチャーチの27日礼拝は屋外で
▼仏ディオールが差別発言疑惑のデザイナーを停職処分
▼ウエストボロ・バプティスト教会のサイトにハッカー攻撃
  ▼《短信》
  ▼《メディア展望》

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◎「平和と正義」を正面に打ち出すWCC中央委

 【CJC=東京】世界教会協議会(WCC)が韓国・釜山で2013年10月に開催する第10回総会の主題を「生命の神よ、わたしたちを正義と平和に導きたまえ」(仮訳)と決めた。ジュネーブで2月16日から22日まで開催した中央委員会で決定した。
 この主題は単なるスローガンやモットーではなく、大会での神学的検討、礼拝、黙想などで常に取り上げられるもの。
 2006年2月にブラジルのポルトアレグレで開催された第9回大会の主題は「神よ、その恵みと共に、世界を転換したまえ」だった。
 今回の主題は、イザヤ書42・1~4の「見よ、わたしの僕、わたしが支える者を。わたしが選び、喜び迎える者を。彼の上にわたしの霊は置かれ/彼は国々の裁きを導き出す。彼は叫ばず、呼ばわらず、声を巷に響かせない。傷ついた葦を折ることなく/暗くなってゆく灯心を消すことなく/裁きを導き出して、確かなものとする。暗くなることも、傷つき果てることもない/この地に裁きを置くときまでは。島々は彼の教えを待ち望む。」(新共同訳)による。
 第10回大会の主題は、企画委員会から原案が2点提案されていた。もう1点は「神の世界にあって、一つとなるべく召されて」だったという。
 審議の過程で、正義・平和・生命の強調と、一致とを結び付けようとする提案も出された。
 オラフ・フィクセ=トゥヴェイト総幹事も「正義と平和を探求することが一致への召しであり、そのように明確に解釈すべきだ」と主張した。
 フィリピン独立教会のカルメンシータ・カラダグ委員は、「正義」だけでなく「平和」もこれまでの大会では「主題」に取り上げられなかった、と指摘した。
 結局、「生命の神よ、わたしたちを正義と平和に導きたまえ」が総意として採択された。英語以外での主題表現は、大会開催地の韓国語を始め、これから準備される。
 中央委員で大会企画委員でもあるシリア正教会アンテオケと全東方総主教座のモル・エウスタッティウス・マッタ・ロハム府主教は「全世界に語り掛けるのだ。主題は様々な場所で、キリスト者によって、また非キリスト者によって読み上げられる。あらゆる言語で主題が明確に述べられることを確実なものとしなければならない」と語った。□

※写真=ジュネーブで開催された世界教会協議会中央委(WCCのサイトから)

※関連短信
▽世界教会協議会(WCC)中央委員は、ジェンダー・ジャスティス問題にエキュメニカル運動がどう取り組むか、新しい展望を開けるか、難題に直面している。女性聖職についても、加盟教会の中で女性聖職を認めないところがある。

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◎既婚ドイツ人がカトリック司祭に


カルマは何ですか?

 【CJC=東京】「教皇の承認を必要とされる稀な動き」という書き出しで、AP通信は、ルーテル派からの改宗者が2月22日、ドイツでカトリック司祭に叙階され、夫人との結婚を維持することが許された、と報じた。しかも夫人は既に修道女になっている、というからAP通信も扱いに困ったと思われる。
 独カトリック教会ケルン大司教のヨアキム・マイスナー枢機卿が2月22日、ルーテル派のハーム・クルーティング氏(61)を司祭に叙階した。クルーティング氏は既婚者でエデルトラウト夫人は2004年にカルメル修道会に入会している。
 バチカン(ローマ教皇庁)報道事務所所長のフェデリコ・ロンバルディ司祭は、例外とは言え、同様なケースがあるにはあった、と語った。「毎日、起きることではない」と言う。
 クルーティング氏と夫人が1977年結婚した当時はルーテル派だった。そして数年前にカトリックに改宗するまで、2人ともルーテル派の聖職者として務めを果たしていた。
 カトリック教会ケルン大司教区は、声明で、夫妻は結婚を維持している限り、伝統的な独身誓願をする必要はない、と明らかにした。カトリック聖職者にとって独身誓願は重要な要件となっていることからすると、これは極端に異常な動きと言える。
 AP通信は、クルーティング一家にコメントを求めようとしたが連絡が取れなかったという。現在も夫婦として同棲しているかは明らかでない。
 ロンバルデイ報道事務所長は、クルーティング夫妻について特に情報があるわけではないし、この問題について教皇が何か語ったかどうかも知らない、と述べている。
 クルーティング氏はケルン大学の歴史神学教授。スイスのフライブール大学でもカトリック神学を講じている。今後は、学生の霊的カウンセラーも務める。
 1950年、教皇ピオ12世は、初めて既婚聖職者のカトリックへの転向を認めた。ただいずれのケースも個別に教皇の承認が必要だ、とケルン教区は声明で指摘している。これまでドイツではハンブルグとレーゲンスブルグで同様の例があった。
 先ごろ、ロンドンで英国国教会の前主教3人がカトリック司祭として叙階された。これは国教会のメンバーをカトリック教会に受け入れることを容易にするため設定されたバチカンの新制度が適用された。
 聖職者独身制への疑問は、性的虐待や不倫などの事件が起こる度に強まっている。心理学者の中には、人間性に反すると主張する人もいる。□

※写真=クルーティング氏(同氏のサイトから)

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◎クライストチャーチの27日礼拝は屋外で


なぜ彼らはバレンタインデーの独身か

 【CJC=東京】2月22日のマグニチュード6・3の地震により被害を受けたニュージーランド・クライストチャーチでは、最初の日曜日の27日、市民が礼拝に集まり、犠牲者を憶えて神に祈った。ただ礼拝の多くは広場など屋外で行われた。市内の教会は崩壊を免れたところも、多少の損害を受けており、余震の懸念もあるため。
 コロンボ通りの南部図書館の芝生で行われた礼拝では、徒歩や自転車で人たちが集まった、と現地のNZPA通信が報じている。
 礼拝を司式したアラン・ウエブスター牧師は「後片付けをしなくても済んだ教会はほんの少し。人たちは閉鎖空間の中では神経質になるので、屋外で集会を行うことにした。ここなら人たちが一緒にリラックス出来る」と言う。
 並べられたデッキチェアに座る人たちの所属教派もさまざま。犬などのペット連れやピクニック用のシートを持ち込んだ人もいた。賛美歌を歌い、聖餐式のようにスコーンと紅茶が振舞われた。
 参加者の1人、マレー・アムトマン氏は、普段は教会に行かないが、今週は人たちと一緒にいたい、と思ったと話している。「神に敬意を払いたく、他の人たちと共にいたかった」と言う。
 教会員は、互いに生き残ったことを思い返し、涙ながらに抱き合い、助け合おうと微笑みを交わした。
 カトリック教会は、ミサは行うと発表した。聖堂が破壊された場合は、近隣の教会でミサを守るように、と教区のリンゼイ・フリーア報道担当は語っていた。
 被害というと、聖公会の大聖堂被害が繰り返し報じられたが、カトリック教会のカテドラルの被害も大きい。昨年9月4日の地震での被害は軽微だったが、今回は大被害で、取り壊さなければならないと思われる。
 報道担当は、カトリック者は、今回の地震による死者発生と損壊について神を非難しない、と言う。「信仰を試された人もいるだろうが、ほとんどの人にとっては信仰をますます堅くすることになった」。□

※関連短信
▽カトリック救援団体『カリタス・アオレアロア・ニュージーランド』は、クライストチャーチを直撃した2月22日の地震被害救援に2万5000ニュージーランド・ドル(約154万円)を拠出することにした。

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◎仏ディオールが差別発言疑惑のデザイナーを停職処分


キャンプでどのように多くの人々

 【CJC=東京】仏ファッション・ブランド『クリスチャン・ディオール』は2月25日、チーフデザイナーのジョン・ガリアーノ氏(50)を一時停職にする処分を発表した。
 ガリアーノ氏は2月24日、パリのマレ地区で、カフェテラスにいたカップルに反ユダヤ的な言動をしたとして警察に一時身柄を拘束された。警察関係者が25日明らかにした。
 『クリスチャン・ディオール』のシドニー・トレダノ最高経営責任者は声明で、「ディオールは、反ユダヤ的または人種差別的な発言や態度を一切容認しないことを最大限の断固とした態度で宣言する」と述べ、「聴取の結果が明らかになるまで、ガリアーノ氏を全職務から一時的に外した」と発表した。
 警察によると、ガリアーノ氏はゲイコミュニティーやファッション業界に人気のカフェ『ラ・ペルル』で、隣の席のカップルと口論になった。同カフェは歴史的にユダヤ人居住者の多い地区にある。
 男女2人のカップルは、ガリアーノ氏が英語で「汚らしいユダヤ人め、死んでしまえ」「気にくわないアジア人め、殺すぞ」などと語ったと言う。ただカップルは、隣に座って話しかけてきたガリアーノ氏を路上生活者と勘違いし、「汚らしい、気持ち悪い」などと述べていたという証言もある。ガリアーノ氏は当初それを無視したが、カップルのうち女性に対して、「ブス、持ってるバッグも最低だ」と言ったという。□

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◎ウエストボロ・バプティスト教会のサイトにハッカー攻撃

 【CJC=東京】同性愛を神はどんな罪よりも憎んでいる、と過激に批判、葬儀場に出掛けてピケを張るなどの極端な行動で知られる米カンサス州トペカのウエストボロ・バプティスト教会。フレッド・フェルプス氏が設立した。バプティスト系諸派とのつながりはなく、「カルト」と見る向きもある。
 同教会の批判の矢はさらにカトリック教会から多方面に広がり、非難をウエブサイトでも展開している。それに反発してかサイトはハッカーからの攻撃にさらされている。
 先ごろ、カリフォルニア州サンディエゴでコミックや映像作品、ゲームの祭典の会場前で、「偶像崇拝者」と糾弾するピケを張ったところ、いわゆるオタクたちの反撃に会い、早々に撤退したとの情報もある。□

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≪短信≫CJC通信速報(Twitter:cjcpress)から。

≪アジア≫
▽フィリピン政府と共産党系反体制組織『民族民主戦線』(NDF)は和平会談を再開することで合意した。教会協議会(NCCP)は2月22日、歓迎声明を発表した。
▽ラオス南部サーラワン県タオーイ郡のカチン族の村では、キリスト教棄教を迫られた住民65人が拒否したところ、自宅から追放されて仮設住宅に居住しているが、食糧が供給されず飢餓状態にある、と『クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド』(CSW)が報じた。

≪中東≫
▽アフガニスタンでは、2010年5月、キリスト教に改宗したサイド・ムサ氏が逮捕されたが、米伊の外交筋の働きかけで2月13日釈放された。
▽エルサレムに本拠を置く、超教派の解放の神学センター『サビール』が「挑戦する帝国=神、信仰、抵抗」を主題に国際会議をベツレヘムで開催、各国から約200人が参加した。
▽イスラエルがパレスチナ自治区に入植地建設を進めていることに国連安全保障理事会で検討された非難決議に、米国が拒否権を2月18日発動した。世界教会協議会(WCC)は米国に「深い関心と失望」を表明した。


≪欧州≫
▽ロシア正教会は全土の刑務所での活動を公式的なものとすることにし、関係当局との協定に調印した。受刑者だけでなく、刑務所スタッフも対象にする。
▽欧州教会会議(CEC)と欧州エピスコパル会議(CCEE)の年次合同委員会が2月17~20日、セルビアのベルグラードで開催された。会議では宗教信仰の自由、特にキリスト者の自由擁護を呼び掛けた。
▽教皇ベネディクト16世は2月19日、駐在ロシア教皇庁使節に現ウクライナ使節のイワン・ジュルコヴィツ大司教を任命した。正教会との関係改善に期待が寄せられている。
▽バチカン(ローマ教皇庁)機関紙ロッセルバトレ・ロマノが創刊150周年を機に紙面改革を打ち出したが、あまりの変貌に、反発の声が出ている、とAP通信。
▽バチカン放送の送信所から発射される電波が強力過ぎて、周辺住民の健康を害したとの訴えを、イタリア最高裁が認め、損害賠償を命じた。
▽カトリック系国際救援団体『国際カリタス』は、カトリック色をより強く打ち出すべきだ、とバチカン(ローマ教皇庁)が考えている。同団体の活動を監督している開発援助促進評議会(コルウヌム)議長のロベール・サラ枢機卿が、レスリー=アン・ナイト総主事の再任問題にからめて発言した。
▽聖職者の性的虐待問題に揺れるベルギー・カトリック教会メヘレン=ブリュッセル教区のアンドレ=ジョセフ・レオナール大司教を助ける補佐司教3人が任命された。
▽アイルランドでは、カトリックは「少数派文化」になってしまった、とダブリンのディアルムイド・マーティン大司教が語った。
▽アイルランド・カトリック教会は壊滅の危機にある、とディアルムイド・マーティン大司教がケンブリッジ大学での講演で語った。

≪アフリカ≫
▽ソマリアではイスラム教過激派『アル・シャバアブ』がキリスト教への改宗者アブディラマン・フセイン・ロブレ氏を首都モガディシュで1月26日殺害した。
▽自家用ヨットで世界中を航海し、聖書を配布する活動を2004年から始めていた米カリフォルニア州在住のジーン・エイダム、スコット・エイダム夫妻が2月22日、ソマリア沖で海賊に襲われ、同乗者2人と共に殺害された。

≪北米≫
▽米カリフォルニア州で助祭に叙階されたノーマ・ジーン・クーンさんが、叙階を誤りだったとし、今後は女性聖職者との関係を断つ、と語った。
▽米救世軍のクリスマス募金はベルと赤色のやかんで有名だが、2010年は1億4200万ドル(約116億円)と新記録。前年比2%増。
▽米フロリダ州ブラデントン出身のダニエル・パイ宣教師がハイチで2010年10月13日収監されて以来、4カ月過ぎたが、なお拘束されている。大地震の際の救援活動に疑念を持たれたためのようだが、正式な容疑は明らかにされていない。
▽米国のバラク・オバマ政権が、男女間の結合に限定した『結婚法』の規定緩和を検討している。

≪中南米≫
▽昨年、チリ鉱山の落盤事故から奇跡の生還を果たした作業員たちが、イスラエル観光省の招きで家族らとともにイスラエルでの休日を楽しんでいる。作業員たちの多くはカトリック。聖地訪問を「神からの恵み」と喜んでいるとか。AFP通信報道。

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《メディア展望》


 =カトリック新聞(2月27日)=
★臨時司教総会=高山右近の霊性、確認=「沖縄」テーマに勉強会
★広島=前教皇ヨハネ・パウロ2世来日から30年=今こそ「平和アピール」
★第20回ネットワークミーティング=「引っ越した青年のケア」も
★バチカン統計値=全世界の司祭数は増加=欧米の「相対的過剰」は軽減
★カリタスジャパン=少数民族難民キャンプで開発支援を視察=インド

 =キリスト新聞(2月26日)=
★「信教の自由を守る日」 横浜地区集会=明学の戦責告白もとに討議
★こひつじ文庫=「子どもの心に響く絵本を」=選定の心がけを長山篤子氏に聞く
★「ナンセン難民賞」候補者=UNHCRが推薦呼びかけ
★米合同メソジスト教会=同性愛問題で4月に審判
★メキシコ上院が保護要請=難民保護に動く神父へ脅迫

 =クリスチャン新聞(2月27日)=
★痛む家庭にイエスの愛を=ネットで探るカップルの絆と課題=関係診断「Couple Check-up」
★アフガニスタン=改宗者に死刑迫る=タリバン政権崩壊から9年も状況変わらず
★スリランカ洪水被害拡大=ワールド・ビジョンが緊急人道支援
★「日本が神国だった頃の教育」が教えた君が代=山口陽一氏=「強制の虚偽は明白」=各地で2・11「信教の自由を守る日」
★大阪でも教員の処分増加=信教の自由を祈る祈祷集会で課題に

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